1. ブランドとブランディング
「ブランド=ロゴデザイン」や「ブランド=ラグジュアリーブランド」と誤認されがちですが、ロゴはブランドの一部であって全てではなく、また、ブランドは必ずしも高価格帯のものとは限りません。ブランドとは「商品やサービス、ロゴや広告、店舗や従業員の言動など全てのタッチポイント(顧客接点)で得られた体験や感覚、感情から消費者の頭の中にイメージ(パーセプション)として生まれる一つの人格」と定義されます。
そして、ブランディングとはすべてのタッチポイントでブランドパーパスを含む「ブランドのあるべき姿」を一貫して体現できるように戦略的にマネジメントしていくことで、消費者の頭の中で強いブランドイメージを確立していくことです。ブランドは企業の核となる資産であり、事業成長を加速させる源泉です。GAFAをはじめとする急成長を遂げるグローバル企業は例外なくブランディングに力を注いでます。事業を加速させるには、ブランドを戦略的に構築してあらゆる企業活動にブランドを活用する必要があります。
2. 企業が抱えるブランディングの課題
いくつか代表的な企業の課題を整理すると、「ブランド戦略と企業の実態が合致していない」、「部門毎に、目標設定やゴールイメージが違うため全社一丸となって同じ方向を向けていない」、「ブランド戦略が不十分」、「経営層がブランディングの重要性を理解できていない」などが挙げられます。
ブランディングに纏わる課題は企業の状況により様々なので、①分析、調査で課題を抽出、②その課題を解決するための戦略立案、③デザインやPR、広告、イベントなどの実行というように大きく分けて3つのフェーズの連動した技法・施策で個別具体的に解決していきます。
3. ブランディングの効果
インターネットの発達によって私たちは消化しきれないほどの情報の渦の中にいて、日々新たな商品やサービスが乱立することで、私たちは何が自分にとって価値あるものかどうかを選ぶこと自体にも負荷が掛かってしまっています。その混乱した状態で「選択」の手助けをしてくれるのがブランドです。
多くの企業は製品やサービスを地道に開発していますが、それを消費者に伝える活動に重きを置いていません。消費者に伝わるためには、消費者の消費行動に沿って自分たちが伝えたいメッセージ/ストーリーを発信して共感を得ることが必要で、それこそがブランディングです。ブランディングを実施することで、品質やデザイン性の高さや信頼、心を掴むストーリー、自己実現などブランドが提供する唯一無二の価値に基づいて顧客がブランドを「選ぶ」ようになるので、莫大な広告費に頼ることなく、また価格競争に巻き込まれることもなく、強い絆で結ばれたファンと収益を持続的に増やしていくことができるようになります。逆に、ブランドで選ばれないということは、それは何の差別化要素もないコモディティ・実用品に過ぎず、それは苦しい価格競争をずっと続けていかなくてはならないということです。コモディティ・実用品から脱却するには、ブランド力を強化することが重要です。
4.ブランディングの位置付け
ブランドは事業を持続的に成長させる無形資産です。ブランドには資産価値があり企業の収益性を高める効果があるため、単なるマーケティングの一部という位置付けを超えて企業戦略と同列に扱う必要があります。
ブランドはマーケティングやPR、広告、販促などの戦術レベルでは構築されません。企業戦略と連動したブランド戦略に基づき実行されることで強いブランドが生まれるのです。